1.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

①2009年度までに全国の消費生活センターが受け入れ、PIO-NETに登録された消費生活相談の総件数の年度別推移を見ると、2004年度を境に㋐減少傾向を続けている。なかでも、㋑架空請求に関する相談の件数はピーク時に比べ大幅に減少している
②2009年度までにPIO-NETに登録された消費生活相談について、支払い方法別に相談件数の推移を見ると、㋐個別信用購入あっせん取引の相談は減少傾向にあり、㋑クレジットカードを利用した取引の相談が増加傾向にある。
③2009年度までにPIO-NETに登録された消費生活相談について、契約当事者の年代別の割合を時系列で比較すると、契約当事者が30歳未満の割合は2003年度を境に㋐減少している。60歳以上の割合は増加しており、2009年度には㋑全体の約半数を占めている
④2009年度までにPIO-NETに登録された消費生活相談の過去5年間の相談件数の推移を見ると、未公開株、社債、各種ファンド、外国通貨など㋐投資に関する相談が増加する傾向にあり、㋑「劇場型」や「被害回復型」などの手口も出現した。なかでも、未公開株に関する被害は㋒30歳代の給与生活者に被害が集中する特徴がある

【解説と解答】
PIO-NETの統計情報による相談状況の問題です。前年にはありませんでしたが、一般的な相談傾向として考えても十分に解答を導き出すことができます。
基本的には国民生活センターが毎年公表し出版している「消費生活年報2011」(2011年10月発行)に掲載されているものです。出版に先立ち、8月に概要が公表されています。とりあえず、必須情報ですね。なお、年報を購入しなくても公表資料で十分だと思います(もちろん、余裕があれば年報を読んでみてもいいかと思います)。
そして、今回の問題で一番重要なことは、問題となっている統計が最新の2010年度ではなく2009年度が対象となっていることです。
2009年度の公表資料と2010年度の公表資料を抜粋します。

2009年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要[2010年8月4日:公表]

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100804_3.html
この概要は、国民生活センターと消費生活センターを結ぶ「全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET:パイオネット)」によって収集した2009年度の消費生活相談情報をまとめたものである(対象データは、2010年5月末日までに国民生活センターのホストコンピューターに登録された苦情相談)。
当該情報の詳細については、「消費生活年報2010」(2010年10月発行予定)に掲載する予定である。
2009年度のPIO-NETにみる消費生活相談の主な特徴
(1)消費生活相談情報の総件数は、約90万件で減少傾向。
(2)「架空請求」の相談は激減するも、「架空請求」以外の相談は微減にとどまる。
(3)20歳代以下の契約当事者の相談が減少する一方、60歳以上の相談が増えており、契約当事者の高齢化が進んでいる。
(4)「油脂(食用油)」「住宅関連」「株」「四輪自動車」などの相談が増加。
(5)「サラ金・フリーローン」の相談は大きく減少した。
(6)「安全・品質」と「接客対応」に関する相談件数が過去最高に。
(7)「店舗外販売」の件数が減少しているものの、「店舗購入」は増加傾向。
(8)割賦販売法の改正などを背景に「個品割賦」は減少傾向、「総合割賦」は増加傾向。
(9)契約・購入金額、既支払金額ともに総額が減少。
[報告書本文(PDF)] 2009年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要(362KB)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100804_3.pdf

2010年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要[2011年8月25日:公表]

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110825_2.html
この概要は、国民生活センターと消費生活センターを結ぶ「全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET:パイオネット)」によって収集した2010年度の消費生活相談情報をまとめたものである(対象データは、2011年5月末日までに国民生活センターに登録された苦情相談)。
当該情報の詳細については、「消費生活年報2011」(2011年10月発行予定)に掲載する予定である。
2010年度のPIO-NETにみる消費生活相談の主な特徴
(1)消費生活相談情報の総件数は減少するも、架空請求以外の相談は、2004年度以降初めて増加。
(2)東日本大震災関連の相談も約9,000件寄せられた。
(3)70歳以上の相談の割合が大きくなり、相談の高齢化がさらに進む。
(4)「公社債」「ファンド型投資商品」「株」などの投資商品に関する相談が増加。
(5)「アダルト情報サイト」のトラブルが各年代に広がる。
(6)地上デジタル放送への移行に伴い、関連する相談も増加。
(7)「取引」「安全・品質」ともに、情報通信に関連する相談が主流に。
(8)「店舗外販売」の件数が増加、とくに「電話勧誘販売」が件数・割合ともに増加。
(9)契約・購入金額、既支払金額ともに総額が増加、投資商品の影響か。既支払金額は、過去最高に。

[報告書本文] 2010年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要[PDF形式](460KB)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110825_2.pdf


2003年度から2004年度にかけて架空請求はがきが全国にばら撒かれたり、携帯電話に覚えのない請求メールがSMSやEmailを使って送りまくられていた象徴的な年でした。相談時間は5分もあれば終了しますが、相談件数が何倍にも膨れ上がり、通常の相談業務に支障をきたすほどの事態になりました。統計も比較しずらくなったので架空請求と架空請求以外の件数を分けるようになりました。今は形を変えた架空請求がありますが、相談件数は当時の比ではありません。そのような時代背景を体感していたのなら、この設問は分かりやすいと思います。したがって、①はすべて正解です。

(2009年度)
1.相談件数等
(1)相談件数は約90 万件で、減少傾向にある
図1 は、消費生活相談の年度別総件数の推移を示したものである。2009 年度に全国の消費生活センターが受け付け、PIO-NET に登録された消費生活相談情報の総件数は899,433 件であり、前年度より5.3%減少となった。
架空請求の件数自体も年々減少し、2004 年度のピーク時の675,676 件と比べると2009 年度の相談件数は61,089 件で、減少率は91.0%となっている。一方、架空請求以外の相談件数では、2004 年度は1,243,998 件、2009 年度は838,344 件で、減少率は32.6%となっているが、架空請求の減少率に比べればそれほど大きくない。
(2010年度)
1.相談件数等
(1)相談件数は約90 万件、架空請求以外の相談は増加
図1 は、消費生活相談の年度別総件数の推移を示したものである。2010 年度に全国の消費生活センターが受け付け、PIO-NET に登録された消費生活相談情報の総件数は887,972 件であり、架空請求に関する相談が多かった2004 年度以降、2010 年度に至るまで減少を続けている。一方、架空請求を除く相談件数は、2004 年度以降初めて増加した。
2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災以後、震災に関連する相談は3 月31 日までで8,864 件寄せられている。この期間における主な相談は、ガソリンや食料品に代表される物資不足や、計画停電による電気に関するものである。
※架空請求と架空請求以外の相談件数を棒グラフにして時系列に作成した表を参照


高齢者に対する次々販売やリフォームなどは個品割賦(今は個別信用購入あっせん契約)によるものが多く、クレジット会社の加盟店管理や過剰与信も問題になり、割賦販売法が改正されたことは勉強をしている方なら当然知っていると思います。したがって、個品割賦は減少傾向にあります。ただし、今は携帯電話の購入が個別信用購入あっせん契約なので今後の増加要因になるかもしれないのですが2009年度なので考えすぎて不正解にしないように注意してください。下線部が契約の種類で減少しているのは確定事実なので、問題の書き方からいって深く考えずに割販法の改正の影響で減少したとしてください。また、下記の概要の解説にもあるとおり、出会い系サイトのポイントをクレジット決済するなど通常のカード払いが増加しています。したがって、②はすべて正解です。

(2009年度)
5.「個品割賦」は引き続き減少するも、他の割賦販売は増加
表6 は支払方法別にみた推移である。全体的にみると、「信用供与無し」が約7 割、信用供与を受けている「販売信用」(クレジット契約)と「借金契約」が合わせて3 割弱となっている。「借金契約」の件数・割合ともに減少したが、これは「サラ金・フリーローン」の相談件数が減少したことなどによるものである。
「販売信用」の内訳をみると「個品割賦」が最も多く約4 割を占めているが、近年減少傾向が続いている。これは、割賦販売法の改正などを背景に、「個品割賦」による「浄水器」等に関する相談が減少したことなどによるものである。
一方、決済代行業者を通じたクレジットカード払いによる「出会い系サイト」の利用に関する相談が増加したことなどにより、「総合割賦」や「翌月一括・ボーナス一括」が件数・割合ともに増加している。
(2010年度)
取り上げられていない(年報には自社割賦が増加したとの解説があります)


2003年度といえば2004年度にかけて激増した架空請求で、若者にも被害が続出しました。その後、架空請求は減少しているので、30歳未満の若者の相談割合が減少すると考えるのは自然です(グラフを見れば一目瞭然ですが)。やはり、被害の中心は高齢者です。ただし、いくらなんでも半数を占めることはありえませんね。すると、①はもれなく正解だと導かれます。このあたりの解答はまじめに考えずに直感でさくっと考えてください。ということで、③は㋑が不正解です。

(2009年度)
1.相談件数等
(2)60 歳以上の相談が増加、契約当事者の高齢化が進む
契約当事者の年代を年度別にみたのが図2 である。
・2009 年度では、30 歳代が最多で18.5%であった。次いで40 歳代が16.5%、70 歳以上が13.6%と続く。
・時系列で割合を比較すると、契約当事者が20 歳代以下の若者の割合は2003 年度をピークに減少している。一方、60 歳以上の高齢者の相談が増えており、2000 年度には相談の16.4%であったが、2009 年度には26.3%を占め、高齢化の傾向にある。
(2010年度)
1.相談件数等
(2)70 歳以上の割合が大きくなり、契約当事者の高齢化が進む
図2 は、契約当事者の年代を年度別に示したものである。
・2010 年度では、30 歳代が最多で16.8%であった。次いで40 歳代が16.1%、70 歳以上が15.4%と続く。
・20 歳代までの割合は減少している一方、70 歳以上の割合が増加傾向にあり、両者の全体に占める割合が初めて逆転した。高齢化の進展に伴い、相談も高齢化傾向にある。


未公開株やロコロンドンなど、あらゆる種類の投資が出現しているのは実感していると思います。手口も劇場型など詐欺的手法が使われています。未公開株に関する被害は30歳代だけでなく、お金を持っていそうな世代に広く被害が発生しています。30歳代に被害が集中するというのは明らかに間違いであると気づくと思います。したがって、④は㋒が不正解となります。明らかに不正解と分かれば残りは正解ということで、さっさとスルーしましょう。

2.商品・役務ごとにみた相談の状況
(1)2009 年度の商品・役務の特徴
③「株」・・・未公開株の電話勧誘が多い「株」が増加以前被害を受けた人が再び狙われる事例も目立つ。
7.主な問題商法
・「電話勧誘販売」は未公開株などの「株」や「分譲マンション」が多く、契約当事者は30 歳以上の各年代で見られる。
解答一覧

①→○、②→○、③→×㋑、④→×㋒

この4つは全部正解しておきたい問題です。