1.次の文章のうち、正しいものには○、誤っているものには×を、解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。また、誤っているものには、誤っている箇所(1カ所)の記号も記入(マーク)しなさい。

⑤ 消費者安全法では、商品等又は役務が消費安全性を欠くことによって重大事故等が発生した場合において、被害の発生又は拡大の防止を図るために実施できる他の法律がない、いわゆる「すき間事案」の場合に、㋐事業者に対して必要な措置を取ることを勧告し、命令できる行政措置権限を定めた。この権限は、生命・身体に対する重大事故等が対象であったが、平成24年、消費者安全法の改正で㋑財産に対する多数消費者財産被害事態であって「すき間事案」の場合にも拡大された
⑥ 消費生活センターの設置は、消費者安全法によって、㋐都道府県には義務づけられているが、㋑市町村は努めなければならないとされている。消費生活センターの要件の1つに、消費生活相談について専門的な知識及び経験を有する者を相談業務に従事させていることとある。専門的な知識・経験を有する者について、消費者安全法施行規則では3つの資格があげられており、㋒「消費生活専門相談員」はそのうちの1つである。
⑦ 都道府県は、㋐特定商取引法に基づく指示処分や業務停止命令の権限を有しており、ある都道府県が訪問販売業者に対して業務停止命令を発したときは、㋑その都道府県域内での営業活動が禁止されることから、㋒複数の都道府県が共同で業務停止命令を発することもできる

解説

問題1⑤

選択肢は2個であり、アならば、イかどうかというパターンですね。
消費者安全法の施行時に、すきま案件はどうすればいのか?という質疑が説明会であり、所管するところがなければ、すべて消費者庁であるとの回答をもらっていたので、ちょっと迷いました。ただ、その当事は「事故」に関する話だったような気がします。しかし、財産分野についても当初から消費者事故に入っており、必要だったら、消費者庁に財産分野の事故ということで通知を出す仕組みはありました。

実際に相談現場では事故ではなく製品の不具合でもない仕様について、消費者がどうしても納得できないときは、財産分野の事故ということで、重大事故に使う通知書と同じものを使用して消費者庁に通知していました。通常のPIO-NET(消費者センターの相談内容を入力するPCが国など全国につながっており、入力すれば消費者事故が報告されたことになります)に入力して事故を報告するよりも、少し上の対応です(あまり詳しくは書けませんが相談テクニックです)。

ただ、財産分野には重大事故という考えがなく、一般の消費者事故の範囲内という考え方でした。もちろん、消費者庁の担当者はその通知に基づき、必要な処理をしていましたし、PIO-NETで同種の事故が多発すれば、啓発などの対象となります。

同じように、金融取引で被害を受けたというのも消費者事故であって、施行当初から存在するものでした。

平成24年度改正の目玉は2点
  1. 「消費者安全調査委員会」いわゆる「事故調」といわれるもの
  2. 「財産分野のすき間事案」の定義づけと行政処分
消費者庁HP 関連資料

ホーム > 消費者安全課 > 消費者安全法の一部を改正する法律
http://www.caa.go.jp/safety/kaisei.html

消費者安全法の一部を改正する法律
概要[PDF:210KB]・・・http://www.caa.go.jp/safety/pdf/120831legal_1.pdf
要綱[PDF:129KB]
法律[PDF:147KB]
新旧対照表[PDF:325KB]

ホーム > 情報提供について > 地方自治体向けの情報発信
http://www.caa.go.jp/info/infosend/index.html
「消費者庁Now!」第5号 (H24. 2.23 配信)
特集  消費者安全法の一部改正案
http://www.caa.go.jp/info/infosend/pdf/05_now02_1.pdf

270330-sukima
※この図は頻繁に引用されています。消費生活アドバイザー試験対策本にも引用されています。正直、分かりにくいですね。

経緯

当事、一般的な取引市場を通さず業者と直接取引(相対取引)するという「金のロコロンドン取引」や「イラクディナールなどの外国通貨取引」で多くの消費者、特に高齢者が被害にあいました。お金を集めただけで実際に取引をしていない詐欺的な事例も多く、このような事態に対して、消費者の被害拡大防止や事業者への規制強化をしようとなったのです。

平成24年度の消費者安全法の改正でそのような被害を「多数消費者財産被害事態」と定義づけ、財産分野で「重大事故」と同じ位置付けにしました。

消費者安全法第40条1項と2項が「重大事故」に関する勧告・命令で、第4項と第5項が「多数消費者財産被害事態」に関する勧告・命令です。前者は法施行当初から規定されていましたが、後者は平成24年改正で追加されました。
条文ではわかりにくいのですが、「他の法律の規定に基づく措置がある場合を除く」という書き方になっており、裏を返せば、「被害のは発生又は拡大の防止を図るために実施できる他の法律がない」ということになり、これを「すき間事案」といいます。

したがって、⑤はすべて正解です。

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

(定義)
第二条
8  この法律において「多数消費者財産被害事態」とは、第五項第三号に掲げる事態のうち、同号に定める行為に係る取引であって次の各号のいずれかに該当するものが事業者により行われることにより、多数の消費者の財産に被害を生じ、又は生じさせるおそれのあるものをいう。
一  消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、事業者が消費者に対して示す商品、役務、権利その他の取引の対象となるものの内容又は取引条件が実際のものと著しく異なるもの
二  前号に掲げる取引のほか、消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、政令で定めるもの

(事業者に対する勧告及び命令)
第四十条  内閣総理大臣は、商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生した場合(当該重大事故等による被害の拡大又は当該重大事故等とその原因を同じくする重大事故等の発生(以下「重大生命身体被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除く。)において、重大生命身体被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、当該商品等(当該商品等が消費安全性を欠く原因となった部品、製造方法その他の事項を共通にする商品等を含む。以下この項において同じ。)又は役務を供給し、提供し、又は利用に供する事業者に対し、当該商品等又は役務につき、必要な点検、修理、改造、安全な使用方法の表示、役務の提供の方法の改善その他の必要な措置をとるべき旨を勧告することができる
2  内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、重大生命身体被害の発生又は拡大の防止を図るため特に必要があると認めるときは、当該事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる

4  内閣総理大臣は、多数消費者財産被害事態が発生した場合(当該多数消費者財産被害事態による被害の拡大又は当該多数消費者財産被害事態と同種若しくは類似の多数消費者財産被害事態の発生(以下この条において「多数消費者財産被害事態による被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除く。)において、多数消費者財産被害事態による被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、当該多数消費者財産被害事態を発生させた事業者に対し、消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引の取りやめその他の必要な措置をとるべき旨を勧告することができる
5  内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、多数消費者財産被害事態による被害の発生又は拡大の防止を図るため特に必要があると認めるときは、当該事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる

問題1⑥

過去にも出題されている頻出論点です。かつ、限られた論点なのでラッキー問題です。
ただし、ご存じのように、消費者安全法が改正されたので、変更点は注意が必要ですが、施行日は公布後2年以内で決まっていません(おそらく平成28年4月だと思います)。択一試験では改正前のものが対象ですので、ここでは、現行の消費者安全法に基づく対応となります。ただし、論文試験や面接で関係してくることもあると思います。

論点のポイント(消費生活センターの設置)
  • 消費生活センターの設置・・・都道府県は義務市町村は努力規定(法)
  • 消費生活センターの基準
    (1)1週間のうち4日以上事務を行うこと(施行令)
    (2)専門的な知識及び経験を有する者を同号及び同項第二号に掲げる事務に従事(法)
    (3)適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているもの(法)→PIO-NET端末のこと
    ※PIO-NET端末は相談内容を入力するパソコンで、全国のセンター・国民生活センター・国などにつながっている
  • 相談業務従事者・・・3資格(消費生活専門相談員・消費生活アドバイザー・消費生活コンサルタント)保有者および同等(施行規則)
    ※消費生活専門相談員・消費生活アドバイザー・消費生活コンサルタント
    ※消費生活相談員という名称は改正後
  • 相談員の資質の向上・・・研修の実施などの努力規定(法)
    これが、きちんと研修をしなさいよという根拠

したがって、⑥はすべて正解です。

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

第二節 消費生活センターの設置等

(消費生活センターの設置)
第十条  都道府県は、第八条第一項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置しなければならない
一  第八条第一項第二号イの相談について専門的な知識及び経験を有する者を同号イ及びロに掲げる事務に従事させるものであること。
二  第八条第一項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
三  その他第八条第一項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
2  市町村は、必要に応じ、第八条第二項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置するよう努めなければならない
一  第八条第二項第一号の相談について専門的な知識及び経験を有する者を同号及び同項第二号に掲げる事務に従事させるものであること。
二  第八条第二項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
三  その他第八条第二項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
3  都道府県知事又は市町村長は、第一項又は前項の施設又は機関(以下「消費生活センター」という。)を設置したときは、遅滞なく、その名称及び住所その他内閣府令で定める事項を公示しなければならない。

(消費生活センターの事務に従事する人材の確保等)
第十一条  都道府県及び消費生活センターを設置する市町村は、消費生活センターに配置された相談員(前条第一項第一号又は第二項第一号に規定する者をいう。以下この条において同じ。)の適切な処遇、研修の実施、専任の職員の配置及び養成その他の措置を講じ、相談員その他の消費生活センターの事務に従事する人材の確保及び資質の向上を図るよう努めるものとする。

消費者安全法施行規則・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21F10001000048.html

(相談員)
第七条  消費者安全法 (以下「法」という。)第十条第一項第一号 又は第二項第一号 に規定する者は、次に掲げるいずれかの資格を有する者又はこれらと同等以上の専門的な知識及び経験を有する者とする。
一  独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)が付与する消費生活専門相談員の資格
二  一般財団法人日本産業協会が付与する消費生活アドバイザーの資格
三  一般財団法人日本消費者協会が付与する消費生活コンサルタントの資格

消費者安全法施行令・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21SE220.html

都道府県が設置する消費生活センターの基準)
第六条  法第十条第一項第三号 の政令で定める基準は、法第八条第一項第二号 イ及びロに掲げる事務を一週間につき四日以上行うことができるものであることとする。

市町村が設置する消費生活センターの基準)
第七条  法第十条第二項第三号 の政令で定める基準は、法第八条第二項第一号 及び第二号 に掲げる事務を一週間につき四日以上行うことができるものであることとする。

問題1⑦

これは深く考えると難問かもしれませんね。

まず、消費者庁の処分権限が都道府県におりているかは、法律によって異なります。また、行政処分でも、指示や命令など、個別におりているものが違うのもあります。
特定商取引法は、行政処分権限が都道府県におりてます。ちなみに、景品表示法は措置命令はおりてなかったのですが、26年12月1日から法改正により都道府県におりてきましたので、さまざまですね。

特定商取引に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html

(都道府県が処理する事務)
第六十八条  この法律に規定する主務大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる

特定商取引に関する法律施行令・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51SE295.html

(都道府県が処理する事務)
第十九条  法第七条 、第八条、第三十八条、第三十九条、第四十六条、第四十七条、第五十六条、第五十七条、第五十八条の十二及び第五十八条の十三に規定する主務大臣の権限に属する事務並びにその事務に係る法第六条の二 、第三十四条の二、第三十六条の二、第四十三条の二、第四十四条の二、第五十二条の二、第五十四条の二並びに第六十六条第一項から第三項まで(同条第六項において準用する場合を含む。)及び第四項に規定する主務大臣の権限に属する事務で、当該都道府県の区域内における販売業者、役務提供事業者、統括者、勧誘者、一般連鎖販売業者、業務提供誘引販売業を行う者又は購入業者の業務(連鎖販売取引電子メール広告受託事業者又は業務提供誘引販売取引電子メール広告受託事業者が受託して行うものを含む。)に係るものは、都道府県知事が行うこととする。ただし、二以上の都道府県の区域にわたり訪問販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引若しくは訪問購入に係る取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあり、主務大臣がその事態に適正かつ効率的に対処するため特に必要があると認めるとき、又は都道府県知事から要請があつたときは、主務大臣が自らその事務を行うことを妨げない。

都道府県の行政処分は、それぞれの都道府県知事がそれぞれの都道府県内で発生した事案に対して行政処分しますので、原則的には、当該の都道府県のみ効力が及ぶと解されています。

しかし、その都道府県で行政処分=営業禁止命令を受けた場合に、他の都道府県で営業して被害を拡大させるという事案があります。関東などの大都市圏では近隣の都道府県と同時に行政処分をする(処分事例の公表資料があります)などしていますが、遠い地方の都道府県を渡り歩くという問題が起こっています。

東京都くらしWEB
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/shobun/shobun150326.html

「ダイエットできる。痩せる。」などとうそを言って、高額な整水器を販売していた事業者に業務停止命令(12か月)
平成27年3月26日

東京都は、「体に良い水を配っています。」、「水を配ってアンケートを書いてもらっています。協力していただけますか。」 等と言って消費者宅を訪問し、「生活習慣病の予防になる。」、「ダイエットできる。痩せる。」等とうそを言って整水器等を販売していた事業者に対し、特定 商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第8条に基づき業務の一部停止(12か月)を命じました。
本件は、千葉県と合同で調査を行い、同時に処分を行ったものです。

そんなのおかしいからすでに対応されているかと思いきや、まだ対応できてないんですね。国でも課題としてあげられています。

したがって、⑦はすべて正解です。

行政処分効力の議論の資料(関係分抜粋)

EconomicNews
http://economic.jp/?p=14249

特商法 都道府県の行政処分効果 全国に拡大へ
2011年01月28日 11:00

消費者保護に向けた地方行政の実効性を高めるため、その方策を検討してきた消費者委員会・地方消費者行政専門調査会はこのほどまと めた報告書案(骨子)で、特定商取引法違反について「広域的な被害防止が必要な事案については都道府県が行った行政処分の効果を全国に及ぼすことができる ものにすることが適当」と提案した。

これは現行法では都道府県による行政処分の効果が処分を行った都道府県に限定されているため、次々販売のように、一つの都道府県で処分された後、別の都 道府県で営業している例が頻発しているケースが目立ち、被害拡大を迅速に防ぐには都道府県の行政処分効果を全国に及ぶようにすることが合理的というもの。

地方消費者行政専門調査会報告書(2011年4月)

内閣府HP
内閣府ホーム > 審議会・懇談会等 > 消費者委員会 > 過去の消費者委員会 > 第1次 > 部会・専門調査会会議資料 > 地方消費者行政専門調査会
http://www.cao.go.jp/consumer/history/01/kabusoshiki/chihou/index.html

地方消費者行政専門調査会

「地方消費者行政専門調査会」は、「地方消費者行政の充実強化に向けて」(2009年12月14日消費者委員会決定)に掲げる論点その他の地方公共団体における消費者行政の推進に関する事項について、委員会の求めに応じて、調査審議を行います。

報告書
地方消費者行政専門調査会報告書(2011年4月)

表紙~17ページ(PDF形式:523KB)
18~33ページ(PDF形式:590KB)
34~54ページ(PDF形式:632KB)
55~68ページ(PDF形式:637KB)

25ページ
第6章 地方公共団体における法執行の位置づけについて
○ 消費者たる住民保護、各相談窓口における悪質事業者指導の実効性確保等の観点からは、都道府県における法執行の一層の強化が必要。
○ ただし、各都道府県における実績のばらつき、現行法制上の限界等を踏まえると、国としても、技術支援や情報共有の推進を図ると同時に、執行権限の見直しを進める必要。

29-30ページ
(3) 都道府県等の執行権限強化
都道府県によっては、既にその執行体制が相当程度強化されていること、事件処理に係る事務負担重複を防止する等の観点からは、その執行権限について、以下のとおり、一定の拡大を検討する必要がある。
① 特定商取引法については、都道府県による行政処分の効果が、当該都道府県に限定されている。次々販売のように、一つの都道府県で処分された後、別の都道府県で営業している例が頻発していることを踏まえれば、事件処理に係る事務負担重複を防止する観点からは、各地方の経済産業局が積極的に調査・処分を行うだけでなく、都道府県が着手した事案でも広域的な被害防止が必要であると判断した事案については、当該処分の効果を全国に及ぼすことができるものとすることが適当である。
この場合、各個別の法律執行は、当該都道府県住民に効果を及ぼすのみならず、全国にも効果を及ぼすことになることから、国としても技術的支援等を検討する必要がある。
景品表示法に関する都道府県の執行権限は、現在、指示のみとなっている。景品表示法の目的規定が公正かつ自由な競争の促進から、消費者保護に変わったことも踏まえ、措置命令も行えるようにすることが適当である。
都道府県の執行権限強化に合わせて、公正取引委員会の地方事務所との連携・協力体制を強化する。また、消費者庁と公正取引委員会の地方事務所との間で、事件調査や事業者等からの相談対応における連携・協力を一層密接に行うなど、国としての執行体制を強化する。
なお、今後の課題として、例えば、複数の都道府県をまたぐ一定地域の事案等について、公正取引委員会の地方事務所において、調査以外の執行権限の一端を担えるように法制上の見直しについて検討する。

※①が先に紹介した報道の元ですね。②の景品表示法は26年12月1日に改正施行され、都道府県が指示だけだったのが、措置命令ができるようになりました。

会議資料
第8回 地方消費者行政専門調査会 (2010年11月30日)
【資料11】 地方消費者行政における法執行の強化について(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:195KB)
http://www.cao.go.jp/consumer/history/01/kabusoshiki/chihou/doc/008_101130_shiryou11.pdf

2、都道府県による特定商取引法の行政処分の効果
・都道府県が業務停止命令・指示処分を行った場合の効果は当該自治体内に限られるものと解されているため、対象事業者が地域外に転出して活動を続ける例が見られる。
<特定商取引法の行政処分と他地域での活動例>
①訪問販売業者エス・ケイ・ティ(家庭用温熱治療器アポイントメントセールス)
・平成18年12月21日、静岡県が指示処分(勧誘目的等不明示、契約書面の記載不備、公衆の出入りしない場所での勧誘、迷惑勧誘の違反)
・平成19年5月28日、北海道が業務停止命令6月(勧誘目的等不明示、公衆の出入りしない場所での勧誘)
・平成19年9月27日、東京都が業務停止命令12ヶ月(販売目的等不明示、公衆の出入りしない場所での勧誘、迷惑勧誘)
②電話勧誘販売業者フロンティア(ネイリスト育成教材等を販売)
・平成20年6月23日、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県が業務停止3カ月(販売目的隠匿、再勧誘禁止、不実の告知、重要事項不告知、威迫困惑、迷惑勧誘)
・平成20年11月11日、北海道が業務停止1年(販売目的不明示、再勧誘禁止、不実の告知、威迫困惑、迷惑勧誘)
③訪問販売業者ホームパートナー・グッドキャリア(防犯装置等を販売)
・平成19年5月1日、北海道が指示処分(販売目的不明示、不実告知、迷惑勧誘・解除妨害)
・平成21年4月15日、東京都が業務停止1年(販売目的隠匿、書面不備、不実告知、重要事項不告知、迷惑勧誘)
(問題2)東京都、北海道、埼玉県、静岡県は、行政処分件数が多い自治体であるが、事業者が行政処分実績が少ない県に転出した場合は、その後処分を免れている可能性が高いのではないか。

【解答】
⑤→○、⑥→○、⑦→○