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平成29年度 論文試験 解説速報(一般公開)

論文試験

要件(注意書きの変更)

記載が記入に変更したなどの細かな修正は別として、大きな修正があります。

変更前後

変更前

次のテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解答用紙に記入しなさい。以下の場合は、いずれも採点の対象外となる。
①「選択式及び正誤式筆記試験」の得点が基準を超えていない場合
②文字数制限が守られていない場合
③受験番号の記載がない場合
④選択した論文テーマ番号の記載がない場合

1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活相談員の立場を考慮すること。

変更後

次の2つのテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解答用紙に記入しなさい。以下の場合は、いずれも採点の対象外となる。
①「選択式及び正誤式筆記試験」の得点が基準を超えていない場合
②文字数制限が守られていない場合
※文字数の数え方は、文字が記入されている行ごとに20字として数える。一行の途中までしか文字が書かれていなくても、20字として数える。
③受験番号・氏名の記がない場合、もしくは正しく記入されていない場合
④選択した論文テーマ番号の記がない場合、もしくは正しく記入されていない場合

1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
4. 課題を考察するに当たっては、地方自治体における消費生活センター、消費生活相談窓口、消費生活相談員立場役割を考慮すること。

論文試験

次の2つのテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解答用紙に記入しなさい。以下の場合は、いずれも採点の対象外となる。
①「選択式及び正誤式筆記試験」の得点が基準を超えていない場合
②文字数制限が守られていない場合
※文字数の数え方は、文字が記入されている行ごとに20字として数える。一行の途中までしか文字が書かれていなくても、20字として数える。
③受験番号・氏名の記入がない場合、もしくは正しく記入されていない場合
④選択した論文テーマ番号の記入がない場合、もしくは正しく記入されていない場合

【テーマ1】

若年者の消費者トラブル・被害の現状・特徴とその防止・救済策について論じなさい。なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。

1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
4. 消費生活センター、消費生活相談窓口、消費生活相談員等の役割を考慮すること。

指定語句:知識・経験の不足、契約、成年年齢の引下げ、取消権、消費者教育

【テーマ2】

インターネット通信販売に伴って生じる消費者トラブルが増大している。その具体例と特徴を挙げつつ、トラブルの防止・救済のための法制度や仕組みについて論じなさい。なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。

1. 以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2. 指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるように、適切に用いること。
3. 文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
4. 消費生活センター、消費生活相談窓口、消費生活相談員等の役割を考慮すること。

指定語句:悪質サイト業者、特定商取引法、広告規制、申し込み内容の確認措置、解約返品制度

論文解説(速報)

テーマ1は「若年者の消費者トラブル」、テーマ2は「インターネット通信販売の消費者トラブル」と命名しました。

行政問題か法律問題か

この2つに区分するのが賛否が分かれるところですが、勉強部屋では2つに区分しています。

行政問題は、政策的なことを論じるもので、さまざまな視点から書くことができ、何でもありになるので書きやすいです。テーマは現場を知らなければ書けないものから、今回のように一般受験生でも書けるものなど、出題年によって難易度が異なります。現職向けの問題です。指定語句を見ると、政策的な語句や、一般用語などが入っており、法律的な用語が少ないので判断できると思います。

法律問題は2つのパターンがあって、1つは法律制定や改正などがあったときに、その概要を論じるもので、純粋な法律問題です。過去問を見ればわかると思います。もう1つは行政問題的な法律問題です。これは、現場で見られる相談事例をあげて具体的に解決方法を具体的な法律を適用させて書くというもので、最近はこのパターンが多くなっています。「送りつけ商法」「次々販売」「ネット通販」などオーソドックスな事例が出題されます。特徴は指定語句に条文等に出てくるような法律用語が列挙されることです。知らなければ書けないというもので、毎年1つぐらい難易度の高い指定語句があります。また、具体的な解決策として、法律に基づくアドバイスをしていくことになるので、どんな条項を使って解決するのかを示す必要があります。現職が行政問題的に政策的なことを書いてしまって不合格になるパターンが出ています。こちらは、あくまでも法律用語を正確に適用させて解決方法を助言するというのが中心になります。

例年通り、テーマ1は行政問題、テーマ2は法律問題でした

【テーマ1】 若年者の消費者トラブル

若年者の消費者トラブル・被害の現状・特徴とその防止・救済策について論じなさい。なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。
指定語句:知識・経験の不足、契約、成年年齢の引下げ、取消権、消費者教育

今回のテーマ1は行政問題

「具体的な事例をあげる」「解決方法をあげる」というのではなく、指定語句を見ても、細かな法律用語がないことから、法律問題的な要素があるものの行政問題です。

勉強部屋で課題にした事例は

【法律問題】平成28年度試験 改題(高齢者を若者に)

若者の消費者被害が増大しているが、その被害の事例と特徴を具体的に挙げ、それに対して消費生活センターはどう対応すべきか、その課題と対策について論じなさい。
指定語句:成人年齢の引き下げ、消費者教育、マルチ商法、クーリングオフ、SNS
※SNS・・・ソーシャル・ネットワーキング・サービス

でしたが、こちらは、事例をあげて解決方法を論じるという法律問題でした。序論で若者の消費者被害の現状、結論的には消費者教育について論じるという流れになっていました。今回の行政問題にあわせるとすれば、具体的な事例や解決方法を細かく書かず、「マルチ商法」や「デート商法」というくくりにして、若者の消費者被害の現状、また、18歳19歳の消費者教育の課題を論じれば、論文添削がすべて応用できますので、そこを理解すれば問題なく書けたと思います。したがって、今回の行政問題は一般受験生にも十分に対応できる、ある意味ラッキー問題だったかもしれません。一般受験生にとって行政問題がラッキー問題になるのは珍しいことです。

法律問題的に書いたのではと不安になる受験生もいると思いますが、本論後半や結論に消費者教育を書けば、センターの啓発や学校教育との連携などが入ってきますので、まず行政問題的な論文になっていると思います。

論文に求められていること

指定語句からストーリーを作る

指定語句:知識・経験の不足、契約、成年年齢の引下げ、取消権、消費者教育

※「知識・経験の不足」「契約」について、具体的にマルチ商法やデート商法などの言葉を入れて、なぜ被害にあいやすいのかを簡単に説明すればいいと思います。

※「契約」は、消費者被害にあった「契約」と20歳で自己責任となる「契約」と未成年者「契約」の取り消しと複数回出てきます。うまく使い分けしてください。

前半で若年者の消費者被害を、後半で未成年者の消費者被害の拡大懸念という2つの対象で書く指定語句とのバランスがよくなるのではないかと思います。

指定語句「成年年齢の引下げ」

「成人」ではなく「成年」、「引き下げ」ではなく「引下げ」、これは私も間違ってしまうかもしれないなあ。5点ぐらいの減点で勘弁してもらえることを期待します。

【テーマ2】インターネット通信販売の消費者トラブル

インターネット通信販売に伴って生じる消費者トラブルが増大している。その具体例と特徴を挙げつつ、トラブルの防止・救済のための法制度や仕組みについて論じなさい。なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。
指定語句:悪質サイト業者、特定商取引法、広告規制、申し込み内容の確認措置、解約返品制度

今回のテーマ2は法律問題

こちらは明らかな法律問題です。これまでの過去問と同様に考えればOKです。

難易度は高めです

テーマ自体はネット通販トラブルですのでわかりやすいのですが、指定語句が難しいのが出てきていますので、きちんとした知識があれば比較的簡単に書けますが、知識がないと間違ってしまうという問題です。したがって、テーマ1とどちらをとるか悩んだと思います。テーマ2の自信がない場合はテーマ1を選択するのが、論文添削でもかなりの事例が出たので、よい選択だったかもしれません。

特に「申し込み内容の確認措置」「解約返品制度」を正確に知っているかがポイントです。

指定語句からストーリーを作る

指定語句:悪質サイト業者、特定商取引法、広告規制、申し込み内容の確認措置、解約返品制度

最初の指定語句に「悪質サイト業者」とあるので、メインは問題になっている「詐欺サイト」や「アダルトサイトの不当請求」などに絞ることも可能です。「悪質」というのがなければ、一般的な通販の注意事項になりますが、一歩踏み込んでいるのが特徴です。さらに、海外の詐欺サイトや越境ネット通販トラブルなどを交えると「お!」と思われるかもしれません。前半に悪質業者のことを書いて、後半に一般的なトラブルのこととして確認措置や返品制度を書くといいでしょう。

※私が個人経営者向けに開催しているネットビジネスの法律セミナーでは、通信販売の表示や確認画面、返品特約を強調して解説しています。個人レベルの経営者は、ほとんど知識がありません。また、商品だけでなく、役務(サロンや教室など)も対象になることを知りません。相談現場でも個人事業主が経営しているネット通販のトラブルでは知識がないことを前提に話をする必要も出てくるときがあります。