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相談員試験【1次:択一式・論文】【2次:面接】の難易度と合格基準

平成28年度から新しい資格制度の下で試験が実施されましたが、基本的には、これまでと変わらない傾向となっています。相談員試験の全体的な難易度についてまとめました。

なお、個人的な見解であり、異なる意見もあると思いますが、ご了承ください。

新試験で変わった点

相談員試験の具体的な難易度

目次

    1. 1次試験(択一式)
      ・穴埋問題
      ・正誤問題
    2. 1次試験(論文)
    3. 2次試験(面接)
      ・2次試験(面接)の目的
      ・2次試験(面接)の内容
      ①志望動機や心構え
      ②事例問題(メイン)
      ③最近の消費者問題・気になる消費者問題
      ④【重要】消費生活センターの役割
    4. 合格基準

1次試験(択一式)

これが相談員試験のメインとなります。
択一式試験はすべてマークシートになっており、「穴埋め問題」と「正誤(×を選択)問題」の2種類ありましたが、新試験の28年度試験からは、この2種類に加えて「単純正誤問題」と「5肢2択問題」が追加されています。

穴埋問題

正誤(×を選択)問題

正誤(×を選択)

正誤(単純○×)

5肢2択

その他(事例問題)

1次試験(論文)

合格ライン

旧試験では、8点満点で5点以上が合格でした。
点数は1点キザミです。

新試験では、100点満点で60%以上が合格でした。
点数は5点キザミでした。

2次試験(面接)

2次試験が必ずこうだという確証はありませんが、いろいろな情報からあわせて書きたいと思います。

2次試験(面接)の目的

面接試験は落とすための試験というよりも、通すための試験だと思います。
旧試験では1割ほどが不合格だとの未確認情報もありますが、よっぽど適性がなかったのかもしれません。新試験ではほぼ全員が合格していましたので、真偽のほどは不明です。旧試験では2次試験の不合格者は翌年の試験を1次免除で受験できる制度がありましたので不合格者が出ることを想定してたのかもしれませんね。新試験では翌年の1次免除の制度はなくなり、一発試験となりました。

相談員の仕事は対人関係の仕事です。
普通の資格試験ではなく、消費生活センターの相談員としてつとまるかどうかを見られています。

知識については1次試験で確認していますので、基本的にはこれ以上のことを要求されることはないと思います。
事例についても、すらすらと回答できることを期待されているのではありませんし、ほとんどができないと思います。
ただし、メインの法律の基本的なところは押さえておいた方がいいです。わからにと話は前に進みにくくなります。しかし、答えることができなくても気にすることはありません。

一番重要なことは、コミュニケーションを円滑にすることができるかどうか、広い視野で物事を考えることができるかということだと思います。

したがって、よっぽどのことがない限り、常識的であれば、落ちることはないと思います。ただし、他人の意見を受け入れないという姿勢はダメです。おそらく、そのような誰が見ても適正がなさそうな人はダメなんでしょう。

現場では「相談者の気持ちを受け止める」ことが大切ですので、他人の意見もまず素直に受け入れるという柔軟な姿勢がポイントとなります。自分の意見と合わなかったら後からじっくり考えて整理すればいいのです。即答で拒否する姿勢はダメです。

応対の姿勢としてはこのあたりを注意しておくといいでしょう。

精神をしっかり保ってください。28年度試験は私も受験しましたが面接後に号泣している受験生に遭遇しました。話をしたら落ち着きましたけどね。

2次試験(面接)の内容

①資格を取ろうと思った理由
②事例問題を1~2問
③最近の消費者問題で気になること

面接官は2人で、1人はまとめ役?で①③を、もう1人が②の事例を出題し問答します。
基本的に15分程度(旧試験では20分程度)です。
おおまかに次の3点が聞かれますが、面接官により、省略されることもあります。

①資格を取ろうと思った理由

②事例問題を1~2問

③最近の消費者問題で気になること

①③は事前に準備をしていれば問題ないと思います。
①~③の具体的な対策については、別途、2次試験対策で詳しく解説してます。

※過去の受験者の面接の体験談は「2次試験対策 過去の面接体験報告(超貴重)」別途まとめています。

具体的な内容については「2次試験(面接)対策」のページにまとめています(会員専用)

特記事項

新試験では、2次試験の始まりに、紙とペンをわたされて、必要であればメモを取ってくださいといわれます。今までは聞いたことがなかった制度ですが、点数には影響しません。しかも、わたされる受験生とわたされない受験生がいるようで、おそらく面接官ごとに違うのかなと思います。わたされるということは、難しい事例なのでメモしなければ分からなくなってしまうのか?と思ったりします。

【28年度からの新試験】合格基準(28年度と29年度では違ってます)

1次択一試験

【平成29年度試験】

(選択式及び正誤式筆記試験)
180点満点中原則として65%以上の得点があった者。ただし、「選択式及び正誤式筆記試験」における平均点等の状況により、試験委員会が「選択式及び正誤式筆記試験」通過者を決定する。

【平成28年度試験】

(選択式及び正誤式筆記試験 )
180点満中60%以上の得点 があった者。ただし、「選択式及び正誤式筆記試験」における平均点等の状況により、合格ラインの変動があり得る

1次論文試験

【論文試験】
100点満点中60%以上の得点があった者とする

【論文試験での追記事項】
(B)論文試験(100 点満点)
論文試験は、相談内容を分析し、問題点をまとめ、資料を作成する能力を判定するために出題します。このため、「体験談」や「感想文」といった作文ではなく、客観的な事実に基づき、要求された論点について考察した論文である必要があります。
評価の観点は以下のとおりです。
・出題の趣旨をよく理解しているか。
・指定語句を適切に使用しているか。
・出題に関する知識や能力、問題意識を有しているか。
・広い見地から考察し、適切な結論を下しているか。
・論理に矛盾や飛躍がなく、論旨が明確になっているか。
・ 消費生活相談員の職務の意義や内容等を踏まえて消費者問題を考察しているか。
なお、原稿用紙の使い方の不適、誤字・脱字については、その程度に応じて減点します。

論文試験は択一試験を合格しないと採点してくれない

1次が悪くても、論文で挽回できるのではないかと考えている受験生もいるかもしれませんが、残念ながら択一試験が不合格だと採点してくれませんので、悲しいです。

ただし、論文試験については、選択式及び正誤式筆記試験が基準を超えた場合のみ採点対象とします。

2次面接試験

旧試験では一次試験を含めて合格基準は示されていませんでした(一次試験で論文の採点をしてもらえるのは択一試験の合格者のみというのは同じ)。

新試験では

≪第2 次試験≫
2人の面接委員(判定者)の評価(ABCの3 段階)が、共にC以外の者を合格とする。

となっています。

ともにC判定ってよっぽどのことがない限りないでしょう。

2次面接試験の過去のリアルな体験談については別途公開しています(会員限定)

登録試験機関の消費生活相談員資格試験の試験業務に関するガイドライン

消費者庁HP
消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 消費者教育・地方協力 > 消費者の安全・安心確保のための制度整備 > 消費者安全法の改正(平成26年6月)
http://www.caa.go.jp/region/index11.html

登録試験機関の消費生活相談員資格試験の試験業務に関するガイドライン[PDF:208KB] 平成27 年3月27 日制定
http://www.caa.go.jp/region/pdf/guideline3.pdf

4.試験の実施
(2)試験の内容
(4)試験の評価・採点方法、合否判定
ア.評価・採点方法
試験の評価・採点方法については、出題形式を踏まえて、可能な限り客観的な評価を行うこととする。また、採点については、登録試験機関が決定した手順に従って行うこととする。なお、法第10 条の3第3項第3号の「消費生活相談の実務に関する科目」については、消費生活相談員には消費生活相談を行う上で知識はもとより、コミュニケーションスキル、ヒアリング力、交渉力、法令の活用力、文章作成力などの実践的な技術も求められることを踏まえ、出題形式と評価基準を決定し、消費生活相談員に求められる技術を総合的に判定することとする。
論文や面接試験を実施する場合は、評価に主観が入ることから、評価項目や評価項目ごとの評価基準を具体的に定めることとする。なお、論文や面接試験を実施する場合は、適切な採点者・面接評価者を養成し、確保することとする。
イ.合格水準
消費生活相談員の消費生活相談業務は、法に規定されている業務を始め、消費者による主体的な問題解決の促進・支援や他の専門家等への橋渡しなども行うことになる。そのような業務を行う上で、消費生活相談員に求められる基礎的な知識及び技術となるのは、相談を受け付けてから当該相談に関わる必要な情報を相談者に提供し、又は苦情に関する処理のあっせんを行うまでの一連の行為ということができ、登録試験機関は、当該行為を実行する知識及び技術を有するかどうかを判定するための合格水準を設定することとする。

【27年度までの旧試験】

合格基準は特に示されていません。ただし、一次試験で論文の採点をしてもらえるのは択一試験の合格者のみというのは明記されていました。

参考までに国センが国の検討会で示した合格基準を紹介します。

【27年度までの旧試験】資格認定制度に関する国セン公表資料(合格基準) (2012年3月5日)

現在、国では国民生活センターのあり方や相談員の位置付け、資格制度などについての見直しをしており、検討会も頻繁に開催されております。
その中の「消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」で、3資格の実施団体が提出した資格に関する資料が公表されています。
3資格とは、「消費生活専門相談員」「消費生活アドバイザー」「消費生活コンサルタント」の消費者安全法に明記されている資格です。

12月に開催された検討会の資料の中で、国民生活センターが「消費生活専門相談員資格認定制度について」の資料を作成しており、資格試験の合格基準や評価方法などについて、かなり詳しく解説していますので紹介します。
これを見ると一次試験の合格基準は7割といわれてましたが、そこまでいかないようですね。

消費生活相談員資格認定試験の難易度設定・合格基準の考え方
<難易度>
・行政の消費生活相談窓口において、消費生活相談処理を行える程度の知識を有していることを、確認できるレベルに設定している。
<合格基準>
・第1次試験の択一式・○×式試験においては、6割程度の得点を目安としている。
<合格率>
・平成22年度の最終合格率は26.6%
論文試験での判断事項(採点のポイント)
①課題をよく理解しているか(問題把握力)
②課題の条件を満たしながら、論点を整理しているか(論点整理力)
③事業者と消費者の格差を踏まえた消費者目線で考察しているか(消費者目線)
④自分の考えを論理的に組み立て、文章でわかりやすく伝えることができるか(論理構成・表現力)
面接試験での判断事項(採点のポイント)
①事業者と消費者の格差を踏まえた消費者目線をもち、公正な判断をする行政の相談員としての役割を
理解しているかどうか
②法や制度のすき間で起こる消費者被害に対して、積極的に取り組む情熱・使命感があるか
③相談者から話を聞き取る姿勢があるか
④相手の話をよく理解し、問題点を整理し、足りない点を聞き出すための知識や姿勢があるか(聞き取り能力・問題把握力・論点整理力)
⑤自分の考えをわかりやすく相手に伝えることができるか、説得力をもって説明できる能力があるか(コミュニケーション力・交渉力)

詳しくはHPを参照してください。
消費者庁
http://www.caa.go.jp/
トップ >地方協力課 > 消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会
http://www.caa.go.jp/region/index8.html
第2回消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会(平成23年12月15日)
資料5:国民生活センター提出資料[PDF:546KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/111215_5.pdf
※アドバイザー試験についても同様資料が公表されていますので必要な方は参照してください。