1.次の文章のうち、正しいものには○、誤っているものには×を、解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。また、誤っているものには、誤っている箇所(1カ所)の記号も記入(マーク)しなさい。

① 消費者庁は、消費者行政の司令塔として、消費者被害の発生または拡大の防止を図るために、㋐消費者庁が所管する法律の規定に基づく必要な措置を執る権限を持つだけでなく、㋑他の省庁が所管する法律による措置が必要なときは、その省庁に対してその速やかな実施を求めることができる。そして、実施を求めたときは、㋒その措置の実施状況について報告を求める権限もある
② 消費者庁は、消費者事故等の発生に関する情報を得た場合、その被害拡大や同種被害の発生防止のために注意喚起が必要と認めるときは、消費者行政の司令塔として、㋐自らが注意喚起を行うのではなく、㋑被害状況やその他の消費者被害の発生・拡大防止のための情報を、都道府県や市町村に情報提供をすることとし、㋒実施機関である国民生活センターに注意喚起など必要な措置を求めることができる
③ 消費者基本計画は、㋐消費者基本法に基づき策定された、消費者の利益の擁護・促進を図るための国の長期的な消費者政策の指針である。5カ年を対象としており、これまで平成17年度からの5年間、平成22年度からの5年間の指針が策定されている。㋑消費者政策会議が消費者庁の意見を聴いて案を作成し、㋒閣議決定されたうえで、公表される。
④ 消費者委員会は、㋐消費者庁に設置され、㋑消費者庁を含む省庁から独立した第三者機関として、各種の消費者問題について自ら調査・審議を行い、㋒消費者庁を含む関係省庁の消費者行政全般に対して建議等の意見表明を行う。

解説

問題1①

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

第六章 消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置

(他の法律の規定に基づく措置の実施に関する要求)
第三十九条  内閣総理大臣は、第十二条第一項若しくは第二項又は第二十九条第一項若しくは第二項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置があり、かつ、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため、当該措置が速やかに実施されることが必要であると認めるときは、当該措置の実施に関する事務を所掌する大臣に対し、当該措置の速やかな実施を求めることができる。
2  内閣総理大臣は、前項の規定により同項の措置の速やかな実施を求めたときは、同項の大臣に対し、その措置の実施状況について報告を求めることができる。

「第1項で措置を求めることができ、第2項で報告を求めることができる」ということですね。「求めなければならない」ではなく「できる」ので、任せっぱなしにしてもいいということです。ちなみに、㋐は当然正解ですね。

したがって、①はすべて正解です。

問題1②

消費者安全法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO050.html

第六章 消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置

(消費者への注意喚起等)
第三十八条  内閣総理大臣は、第十二条第一項若しくは第二項又は第二十九条第一項若しくは第二項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、当該消費者事故等による被害の拡大又は当該消費者事故等と同種若しくは類似の消費者事故等の発生(以下「消費者被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るため消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは、当該消費者事故等の態様、当該消費者事故等による被害の状況その他の消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表するものとする。
2  内閣総理大臣は、第十二条第一項若しくは第二項又は第二十九条第一項若しくは第二項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために相当であると認めるときは、関係行政機関の長等に対し、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を提供することができる。
3  内閣総理大臣は、第一項の規定による公表をした場合においては、独立行政法人国民生活センター法 (平成十四年法律第百二十三号)第四十四条第一項 の規定によるほか、国民生活センターに対し、第一項の消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報の消費者に対する提供に関し必要な措置をとることを求めることができる。
4  独立行政法人国民生活センター法第四十四条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

これはラッキー問題ですね。消費者庁自ら注意喚起しているのは当然です、新聞テレビでも見ている光景です。ちなみに法律の該当する部分では、提供するとともに「公表する」と明記されています。アが明確に×の時点で続きは無視してもOKです。

したがって、②は㋐が不正解です。

ミニ知識

ちなみに、法律の条文中に「内閣総理大臣は」とありますが、権限委任されていますので、「消費者庁長官は」に読み替えて、問題文中の「消費者庁は」につながります。

第七章 雑則

(権限の委任)
第四十六条  内閣総理大臣は、前条第一項の規定による権限その他この法律の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。
2  前項の規定により消費者庁長官に委任された前条第一項の規定による権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事又は消費生活センターを置く市町村の長が行うこととすることができる。

問題1③

消費者基本計画の策定は「消費者基本法」に基づいています【基本知識】
基本計画は5年おきに策定されています。

消費者基本法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S43/S43HO078.html

(消費者基本計画)
第九条  政府は、消費者政策の計画的な推進を図るため、消費者政策の推進に関する基本的な計画(以下「消費者基本計画」という。)を定めなければならない。
2  消費者基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一  長期的に講ずべき消費者政策の大綱
二  前号に掲げるもののほか、消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項
3  内閣総理大臣は、消費者基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
4  内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、消費者基本計画を公表しなければならない。
5  前二項の規定は、消費者基本計画の変更について準用する。

(消費者政策会議)
第二十七条  内閣府に、消費者政策会議(以下「会議」という。)を置く。
2  会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  消費者基本計画の案を作成すること。
二  前号に掲げるもののほか、消費者政策の推進に関する基本的事項の企画に関して審議するとともに、消費者政策の実施を推進し、並びにその実施の状況を検証し、評価し、及び監視すること。
3  会議は、次に掲げる場合には、消費者委員会の意見を聴かなければならない
一  消費者基本計画の案を作成しようとするとき
二  前項第二号の検証、評価及び監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとするとき。

基本計画は消費者庁の意見を聴くのではなく、消費者委員会の意見を聴きます。普通に考えて、計画を実行していく消費者庁に直接意見を聴くのではなく、消費者庁以外の外部の意見を聴いて策定し、消費者庁に実施してもらうというイメージですね。

したがって、③は㋑が不正解です。

消費者基本計画(5年間)

  • 初代 2005年4月8日策定(閣議決定)2005~2009年度(平成17~21年度)
  • 2代目 2010年3月30日策定(閣議決定)2010~2014年度(平成22~26年度)
  • 3代目 2015年3月24日策定(閣議決定)2015~2019年度(平成27~31年度)←最新版です

消費者庁HP
ホーム > 消費者政策課
http://www.caa.go.jp/adjustments/index.html
※ 消費者基本計画の概要はこちら[PDF:216KB]
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/150324adjustments_6.pdf
1枚物の概要がありますので、参考にしてください。

問題1④

消費者委員会の問題ですが、実はラッキー問題です。アの「消費者庁に設置され」とイの「消費者庁を含む象徴から独立した」と矛盾した表現になっています。「第三者機関として」というところからアが明らかに間違いだと国語的に分かります。もちろん、消費者委員会は内閣府府に設置されていることは【基本知識】です。

したがって、④は㋐が不正解です。

消費者委員会のHPの説明が、そのまま問題になっています。

内閣府ホームページ
内閣府ホーム > 審議会・懇談会等 > 消費者委員会
http://www.cao.go.jp/consumer/
内閣府ホーム > 審議会・懇談会等 > 消費者委員会 > 消費者委員会について
http://www.cao.go.jp/consumer/about/

消費者委員会とは
消費者委員会は、独立した第三者機関として、主に以下の機能を果たすことを目的として、平成21年(2009年)9月1日に内閣府に設置されました。
各種の消費者問題について、自ら調査・審議を行い、消費者庁を含む関係省庁の消費者行政全般に対して意見表明(建議等)を行います
・内閣総理大臣、関係各大臣又は消費者庁長官の諮問に応じて調査・審議を実施します。

消費者庁及び消費者委員会設置法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO048.html

第三章 消費者委員会

(設置)
第六条  内閣府に、消費者委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
2  委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  次に掲げる重要事項に関し、自ら調査審議し、必要と認められる事項を内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に建議すること。
イ 消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項
ロ 消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策に関する重要事項
ハ 景品類等の適正化による商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保に関する重要事項
ニ 物価に関する基本的な政策に関する重要事項
ホ 公益通報者の保護に関する基本的な政策に関する重要事項
ヘ 個人情報の適正な取扱いの確保に関する重要事項
ト 消費生活の動向に関する総合的な調査に関する重要事項
二  内閣総理大臣、関係各大臣又は長官の諮問に応じ、前号に規定する重要事項に関し、調査審議すること。
三  消費者安全法第四十三条 の規定により、内閣総理大臣に対し、必要な勧告をし、これに基づき講じた措置について報告を求めること。
四  消費者基本法 、消費者安全法 (第四十三条を除く。)、割賦販売法 、特定商取引に関する法律 、特定商品等の預託等取引契約に関する法律 、食品安全基本法 、消費者教育の推進に関する法律 、不当景品類及び不当表示防止法 、食品衛生法 、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律 、家庭用品品質表示法 、住宅の品質確保の促進等に関する法律 、国民生活安定緊急措置法 (昭和四十八年法律第百二十一号)及び個人情報の保護に関する法律 の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。

【解答】
①→○、②→×㋐、③→×㋑、④→×㋐