「割賦販売法」、略して「割販法」です。
クレジットに関する法律です。

相談現場を知らない受験者には、なじみのない法律ですが、実はとても身近な法律です。
過去問の解説に入る前に、割販法がどれだけ身近かということを少し長めに書きたいと思いますので、読み物的に考えてください。
なお、これらの話は現職相談員にとっては常識の話ですので、それだけでもハンデがありますね。

クレジットといっても、さまざまな分類パターンがあります。
クレジットカードのことはすぐに思い浮かぶと思いますが、一般的なクレジット契約は包括信用購入あっせん(包括クレジット)契約といいます。
最近はクレジットカードによる決済代行業者での出会い系サイトのポイント支払の被害が増えているので、この法律もメジャーになりましたが、そもそも割販法の主流となる対象は、「訪問販売」による「個別信用購入あっせん契約」のトラブルに関するものです。

たとえば、高額な商品を購入したときに、分割払いで契約書を書くことがあると思います。
訪問販売での高級羽毛布団や学習教材などが思い浮かびますし、リフォームなどもそうです。
実は、これらの分割払いの契約は、販売業者と消費者の二者間の分割払いの契約ではなく、信販会社が間に入っているのです。
消費者は信販会社に借金して全額を一括して販売業者に支払います。
そして、分割払いのお金は信販会社に支払うというものです。
あるとき、購入した商品に問題があり、販売業者に苦情を言っても聞いてもらえなかったから、分割払いのお金を支払わなかったとします。
しかし、販売業者はすでに全額を信販から受け取っているので、痛くもありません。
その一方、消費者は借金を滞納したということで「ブラック」になってしまい、住宅ローンを組もうとしても組めなくなってしまうという恐ろしいものです。

そんな契約とは程遠いと思っているでしょうが、実はとても身近なものになってしまったのです。
それは、携帯電話です。
通信料金と本体代金が分けられてから、高額な本体代金を購入時に一括では支払えないので、分割払いにします。
それが、個別信用購入あっせん契約です。携帯電話の契約書をよく確認してください。
「いや、本体代金は実質無料だから」という場合も、実質無料なのは、単に契約を継続していると、キャッシュバックがあるだけであって、実際は本体代金を借金してローンを組んでいることになります。このローンの分割費用が全額もしくは一部がキャッシュバックという形で通信料金から引かれています。
携帯電話契約で借金してローンを組んでいるということを自覚していないと、昔のように、電話代を滞納してしまうと、イコール借金の滞納となり、ブラックにのってしまいます。
そのため、若くしてブラックになったため、いざ、結婚して住宅ローンを組もうとしても断られてしまうという社会問題が潜んでいます。
携帯電話は、一括現金払いもしくは本体一括0円契約ならローンを組まなくて済みます。

以上のようなローン契約のルールを明示した法律が「割賦販売法」なのです。
携帯電話の普及とネットコンテンツのクレジットカード払いの出現によって、訪問販売のマイナーな世界から、一気にメジャーな世界へと変貌をとげました。

割販法は難しい法律です。しかし、相談現場を目指すなら避けては通れない法律にもなっていますので、そこそこ勉強していかなければならないです。

相談員試験ではメジャーな重要ポイントが出題されます。現場で必要なものと共通しています。

ポイントとしては2009年改正です。
特商法が2009年に改正されたときに、割販法も同時に改正され、契約の名称が変更されるなど、非常に重要な改正になっています。
それ以後については大きな変化はありません。
所管は経済産業省になります。
現場では、実際に割販法に基づいてあっせんするという機会はあまりないように感じますが、裏に隠れているだけで、しっかりと骨組みに入っています。
その知識があることを前提に特商法の訪問販売などのあっせんを行います。

割販法では、個別信用購入あっせん、マンスリークリア、クーリングオフ(特商法との連動)、支払い能力の調査、加盟店調査などはポイントです。
また、定義についてもややこしいですがしっかり理解しておいてください。

割販法だけは、何らかの講義を受けた方が理解が進むかもしれませんね。

割賦販売法(経済産業省HP)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/11kappuhanbaihou.htm
割賦販売法関係資料
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/112kappuhanbaihoukankeishiryou.htm

割賦販売法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.html
割賦販売法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36F03801000095.html

割賦販売法の逐条解説は、HP等に掲載されていませんので、各種参考資料を見るか、必要な場合は別途購入してください。
改正割賦販売法の概要・・・このまとめが結構役に立ちます。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/120215setsumeishiryo.pdf

参考書籍
平成20年版割賦販売法の解説(第二刷)
◆編集:経済産業省商務情報政策局取引信用課
平成20年改正法に基づく割賦販売法の法律および政省令の内容、法律条文の逐条解説等。
※平成21年10月発刊、平成22年12月第二刷発行
体裁 A4判
定価 4,725円(税・送料込み)


割販法の試験勉強のポイント

割販法は難解な法律です。
条文や解説書を読みながら出ないと正直言って分かりません。
読んだとしても勉強する気がならないぐらいです。
実務的には、結構勉強しなければならないですが、受験生はそんなところまでやってられません。
現場にいってから勉強していったらいいと思います。
試験に出題されるポイントは限定されるので、割り切って、時間的なものと相談しながら勉強していくといいと思います。

出題ポイントは取引形態別に、「規制されるもの=書面交付・支払可能見込額の調査・クーリングオフの可否・抗弁対抗など」が異なっており、どの契約には適用されてどの契約には適用されないのか、ということです。試験問題はほとんどがこの形です。
特に平成20年に改正されたところが重要ポイントとなります。

もし、割販法の相談員養成講習会等に参加された方なら、A4の両面ぐらいで、表になってまとめられているものをお持ちではないかと思います。
基本的には、その表に従って整理していけば早いと思います。
ただし、その背景や理屈が分かっているともっと吸収しやすくなるのですが時間との相談ですね。
この表は列に取引形態(3形態の支払い方法別)、業に行為規制(条項)でまとめられています。

先ほど紹介した資料として、
改正割賦販売法の概要
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/credit/120215setsumeishiryo.pdf
がありますが、講習会等は、この資料のような形で進められるので、これを読みながら勉強すればいいです。大変ですが。
ここにも、部分的に表があります。
本当は私が表をつくればいいのですが、持っている資料を丸写しするわけにはいかず、確認しながらつくる必要がありますので、それに費やせる時間はありません。

5割ぐらいの正解を目指せばいいのかなと思いますが、重要ポイントの中でも過去問対策をしていれば、意外に点数を取れるのではないかと思います。
そして、試験では後半戦に入ってきて、民法、消費者契約法、特商法と続いて重要法律の最後です。問題文が長くてややこしいので、集中力が必要ですが、問題を読み込むだけで正解が出てくるものもあります。
割販法ではごうっかう点を取るのが難しいかもしれませんので、できるだけロスを少なくするように努めてください。